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アリツェ（16）

家出のような形で故郷を飛び出し憧れだった都会へ来た。
手に職を付けることもでき平穏な生活を過ごしていた。
それは彼女がいつも通り街の人気のレストランで働いていたときのことである──

どこからかとんできたナイフはアリツェの胸部に刺さった。
アリツェは糸が切れた人形のようにその場に倒れ込んだ。
即死だった。

ナイフは店の端で乱闘騒ぎを起こしていた男二人の方から偶然飛んできたものだった。

アリツェは自分の身の上を明かしていなかったため彼女の親族や故郷を知る者はいなかった。

そのため遺体は店の者が処分することになり、アリツェはその日の内に埋葬されたのだった。